「水浴びしてみれば? 気持ちいいよ〜」
天気予報では猛暑、酷暑と言う言葉が連日続く夏休み。
出かける予定も特になく、ゴロゴロする毎日。
かーさんも警部も仕事。
互いの家に1人っきり。
それぞれの家でクーラーつけて、無駄な電気を消耗するよりは、どちらかの家にいた方が少しは地球に優しいよね?という、
何とも青子らしい発想の元、本日は青子の家でたまった課題の片付け中。
夏休み当初から一気に手をつけた課題も、頑張った甲斐あって、今日で終了。
残りの1ヶ月、思いっきり遊ぶ予定にしている。
ま、予定はあくまでも未定、だがな。
「あ、いけない。お水蒔いとかなきゃ」
課題を追えた青子が、慌てて庭に飛び出す。
ホースを引っ張り出し、庭木一面に水を蒔く。
「ねぇ、快斗。終わったんでしょ? おいでよ。水飛沫が気持ちいいよ〜」
「あ〜、今行く〜」
一通り蒔き終えた水を一旦止め、もう一度蛇口をひねる。
傍に置いてあった小さなジョウロに水をいれ、ウッドデッキに寝そべる快斗の傍へ行く。
「空高いよな〜」
ゴロンと寝返りを打って、うつ伏せの状態で目を閉じる。
「気持ちいいねvv」
ウッドデッキ傍のプランターに水をやる振りをして、背後からジョウロの口を快斗へ向ける。
「!!!!!」
イキナリ背中に振ってきた水に跳ね起きようとして、そのまま固まる。
「アホ子!! どこ乗ってやがる!!」
「へへ、こっちも気持ちいいでしょ?」
「あのな・・・」
小さなジョウロから出る水は、暑さでシャツを脱いでいた快斗の背中や頭を湿らせる。
快斗に馬乗りになった状態で、その背中をまじまじと見つめてしまった青子は、
己のその大胆な行動に、今更ながら赤くなる。
(結構焼けてるね・・・、なんかたくましいかも・・・)
「青子?」
背中に乗ったまま動かなくなった青子を目線だけで見上げ、
真っ赤になった顔を見てにやりと笑う。
(はは〜ん、俺の背中に見惚れたか)
ならば
「え? きゃぁっ!」
突然起きあがった快斗にびっくりして、慌てて降り様とするが、
タッチの差で快斗の行動の方が早く、
気が付いた時には、快斗の膝の上に座らされていた。
「ちょっ、ヤダ、降ろしてよ〜」
「ダメ」
パチンと指を鳴らして、青子の手のジョウロを消し、
じたばたと暴れる腕を抱え込む。
イタズラのお返し、しねーとな。
課題は全て終わった。
日課の水撒きも終わった。
赤かった顔を更に赤くした青子の
可愛らしいこめかみに。
「遊ぼうぜ」のご挨拶♪
雲一つない空は、まだまだ高い。