「────っ!」


まただ、またあの夢。

悪夢としか言いようがない、息が止まりそうな夢。

現実で、一番欲しかった宝石を手に入れた反動か。

青子が・・・、青子がヤツらの手にかかって、息絶える夢。


「ん? 快斗? どうしたの?」
荒い息をしていたせいで、青子が目を覚ます。

「いや、何でもねぇ・・・」

ショッキングすぎる夢故に、ポーカーフェイスが出来たかどうか。
顔色の悪い俺に気付いたのか、青子が体を起こす。

月灯りに反射する、白い肌、赤い花。

「また夢を見たんだね。快斗、気付いてた? 青子を抱いた日はいっつもそうだよ? 何か不安?」
不安? 俺が不安を抱えてる? 
そんな筈は・・・、いや、あるのかもしれねーな。

手に入れてしまった為に、巻きこんでしまうであろう事に。

「・・・・・・」

無言の回答を、どう受けとめたのか。

「快斗? 大丈夫だよ、青子はここにいるよ。絶対に死んだりしないよ」

「青・・・子・・・」

「青子、言ったよね。快斗が全部話してくれた時、生きるも死ぬも一緒だって。
快斗が死なない限り、青子も死んだりしないよ。青子を信じて?」

体の中を、電流が・・・走った。

明日も確実に生きていられる保証なんてない時代、そして我が身。

何の根拠もないのは判っているのに、青子の言葉が嬉しい。

どうしようもない程の愛しさと、感謝の気持ちと、照れくささを共にして、再び青子の体に沈み込んだ。









2003年夏、残暑見舞いとしてあちこちにばら撒いたものです。
しかも、ばらまいた後に誤字に気付くし(汗)
残暑見舞いにこーんな暗いモノ送るか!というツッコミはナシです(爆)
今回のUPにあたり、修正しました。
不幸にも押しつけられてしまった方々、ごめんなさいぃぃぃぃ(←逃亡)