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9月。
新しい学期の始まり。
暦の上で夏の終わり、秋の始まり。
そして、青子が生まれた月。
お母さんが、命をかけた月。
『Thank you mother』
元々体が丈夫でなかったお母さん。
お腹に青子を宿した時、医者から厳しいと言われてた。
それでも大事に大事に一日一日を過ごして、生まれてくる日を楽しみにしてた。
それなのに、いざという時になって、お母さんの体は急速に悪くなってしまった。
お父さんは医者から選択を迫られた。
お母さんの体を取るか、青子を取るか。
お父さんは悩んだ末、お母さんを取ると告げた。
でも、お母さんは違ってた。
ただ、私が頑張れば良い、と。
お腹の中で生きている命は私の命なのだから、と。
母は強しなんて言うけど、ホントにそうだった。
お母さん、耐えたんだもの。
厳しいと言われたお産に耐え、青子が生まれた。
少し長い入院機間を経て、ちゃんと自宅に帰って来ることも出来た。
他のお母さん達と同じように、子育てを始める事も出来た。
1年、また1年。
ランドセルまであと3ヶ月となった冬。
それまで頑張ってきた体が悲鳴を上げてしまった。
幼稚園に行っている間に倒れ、青子は何も知らないままおばあちゃんちに預けられた。
お母さんは?と聞いても、熱が出た、とかすこし具合が悪くなったとか、そんな答えばかり。
お母さんに会いたくても、一人で家に帰れないし、お父さんも連れて帰ってくれない。
卒園式も間近で、その先には入学式も待ってるのに・・・・・。
結局、お母さんは卒園式に出る事も、ランドセル背負った青子を見る事も出来ず、逝ってしまった。
青子が可哀想だから、と言う大人の勝手な思い込みで、病院へ連れて行かれる事もないまま。
「そっか・・・」
ぽつりぽつり話す青子の傍で、快斗が呟いた。
高校を卒業して始めての誕生日。
快斗と2人きりの小さなパーティを開いた。
昔のアルバムを見ていて、ちょっと泣きそうになった。
「快斗と出会ったのは入学直前だったよね」
「入学式でばったり、だったな」
「ねぇ、快斗。明日お母さんのとこ一緒に行ってくれないかな。何だか会いたくなっちゃった」
「いいよ、行こう」
「ありがとう」
「なぁ青子、幼稚園の鞄とランドセルまだ残ってるか?」
「あるよ。どうして?」
「持って行こうぜ。中学と高校の鞄も。4つ並べて見せるんだよ。ちゃんと4つ使い切りましたって」
「うん!」
「じゃ、パーティの続き、やるぞ」
「はーい!」
いつも傍に快斗がいて、お父さんがいて、恵子や蘭ちゃん達もいて。
お母さん、生んでくれてありがとう。
青子、幸せだよ。
2008年9月、水瀬ゆず様主催の青子嬢誕生企画参加作品です。
遅刻した揚句、主催のゆず様の作品と思いっきりカブるという有り様で・・・
(歳が違うからいいよね? ご勘弁/汗)
書きなおす気力はありませんでしたので、このまま提出し、即座に逃亡を諮りました(笑)
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