早いもので3周年を迎えちゃったりします。
見よう見真似で始めたサイトが3年ですよ、3年!
昨年2周年を迎えてから更新が滞り、大事なイベントをいくつスルーしたことか。
こんなサイトにも足を運んで下る方々に、感謝感激雨アラレでございます。
今月の日記にもちらりと書きましたが、この後の更新を一旦休止しようと思っております。
詳細は事情あって伏せさせていただきますが、今現在、心身に余裕が全くありません。
快斗も青子も大好きなのですが、その気持ちだけでは思うように手(筆)が進みません。
きちんと回復してから、戻ってきたいと思っております。
3周年の記念と、ごめんなさいのお詫び置き土産として(滝汗)・・・。
(季節を思いっきり外してますが、ご勘弁を)
続々・Seven Daffodils
side青子
4月。
2人揃って大学を無事に卒業し、快斗は本格的にプロの道へ。
青子は社会人へ。
本当はちゃんと正社員になってどこかに勤めたかったんだけど、
何故だか快斗に猛反対されちゃったので、世間で言うフリーターってのをやってるの。
快斗曰く「時間の融通がきく」らしいんだけど、
正社員だってちゃんとお休みはあるし、何年か勤めたら遊休だって取れるのに。
そういうワケで、今日も青子は商店街の洋菓子屋さんで、売り子さんのお仕事頑張ってるのです。
ここは昔からある人気の洋菓子屋さんで、ほどよい甘さが評判を呼んで、県外からもお客さんが来るの。
でね!
今日来たお客さんから、とっても素敵なお話を聞いちゃったの!
時々遠い目をする快斗に、青子が傍にいるってコト、ちゃんと判ってもらう為にも、絶対に絶対に行かなきゃ!
「快斗〜、週末お休み取れる?」
「ん〜、日曜なら空いてるぜ。土曜は来週の打ち合わせ入っちまったからな」
「いいよ。じゃ日曜日、青子に付き合って。車出してくれると嬉しいんだけどな」
「いいけど、どっか行くのか?」
「うん、当日のお楽しみvv」
「はぁ?」
「うわぁ、いい天気! 絶好のお出かけ日和だねvv」
「はいはい。で、何処へ向かえば良いのかな? 青子チャン」
「高速乗って! 関越自動車道を渋川伊香保インターへ!」
「伊香保だぁ!?」
「うんvv 目指すは東吾妻町! よろしくねvv」
「・・・・りょーかい・・・」
side快斗
東吾妻町ねぇ。
何かあったっけ? 青子が喜びそうなところ。
IQ400の頭脳をフル回転するも、何一つ出てこない。
ナビで検索したら、正味2時間ってとこだし、そんなに遠くはない。
ドライブにはちょうど良い距離だろう。
(ただのドライブじゃなさそうだしなぁ・・・)
大学を卒業して、本格的にマジシャンの道を歩き出した。
親父の名が大きすぎたせいで、まだ七光り的な扱いを受ける事も多い。
それはそれでかまわないのだが、時々自分の実力を越えた賛辞を受けてしまうので、戸惑ってしまう事がある。
小さい頃から俺のマジックを傍で見てきた青子が、
その都度、親父とは違うと言ってくれる言葉に、何度救われた事だろう。
欺く心。
縋りたい想い。
報われない恋。
縛りつけたい独占欲。
相反する想いに一人でもがいた日々が、昨日のことのようによぎって行く。
走馬灯のように流れるその想いを持て余し、ハンドルを握る手が、知らずに硬くなって行く。
(まだまだだな、俺は・・・)
上機嫌で口元から小さく唄が洩れる青子を横目でそっと見て、落ちていきそうな思考を上げる作業に入った。
side青子
2時間とはいえ、高速の運転は疲れると思うから、半分行ったところで、休憩を入れてもらった。
水筒に入れてきたカフェオレを快斗に渡しながら、お疲れ様と声をかけた。
「なぁ、青子。何処に行こうってんだよ」
「内緒。すごく素敵なところなんだよ? 青子も始めてなんだけどね。お店のお客さんに教えてもらったの。
話を聞いてたら、どうしても快斗と行きたくなっちゃって。」
「ふーん、ま、向こうに着けば判るんだろ? で東吾妻のどこに行けばいいんだ? ナビに載ってるとこか?」
「んーとね、場所は岩井親水公園だって言ってた。近くに駐車場があれば良いんだけど」
「岩井親水公園・・・っと、あったぜ」
「ホント? 良かった。あと1時間くらいかな? きつかったら言ってね。運転代わるよ?」
「平気だっての。ほら、行くぞ」
「うん!」
目的地に近づくにつれて、お目当ての看板がいくつか見えてくる。
(あちゃ〜、バレちゃうかなぁ)
「あの辺りじゃねぇ? 車何処に停めっかな」
ナビで周辺の駐車場を探す。
「公園の近くならいいんだろ? この辺にしとくか」
「あ、うん」
「で、目的地に着いたけど、青子が行きたかったのってアレか?」
視線の先に風にたなびく旗かがズラリと並んでいる。
『水仙まつり』
「お店にね、この辺から来てくれたお客さんがいたの。
そのお客さんがね、水仙が刺繍された素敵なハンカチを持ってたんだ。
青子、それ見て、青子も水仙が好きなんですって言ったら、4月にお祭りやってるって教えてくれたの。」
「ふーん」
「快斗、まだあの言葉気にしてるでしょう?」
「は?」
「水仙の花言葉」
「あお・・・こ?」
「あれから3年も経つのに、信じてくれてないんだもん。青子、ちゃんと言ったよね?
気持ちはこれだよって。それなのに快斗は・・・」
「・・・・・・」
「だからね、青子考えたの。図鑑に載ってる水仙だけじゃ足りないんだったら、
もっともっとたくさん見せたらいいのかもって」
「それで、ココに?」
「うん! 見て、ほら。ここね、県道沿いに水仙が並んでるんだって。
この水仙、ぜーんぶ快斗にあげる。だから、青子の気持ち・・・ひゃっ」
突然、快斗に抱き締められた。
往来で、しかもたくさんの人がいる中で。
慌てて離れようと腕に力を入れるが、それよりも強い快斗のそれが廻されている。
「ありがとな、青子」
「バ快斗。ちゃんと信じてよ。青子、判ってたんだからね、時々遠い目をしてるの」
「ゴメン」
「謝らないで。信じてくれてたら、それでいいんだから」
side快斗
まいった。
青子に隠し事は出来ねぇのは判ってたけど、ここまで見抜かれてるとは、正直驚いた。
青子の言う、遠い目とやらも、青子の前では絶対にしないようにしてたハズなのにな。
県道沿いに植えられたたくさんの水仙。
その1本1本に、青子の想いが込められている。
「ったく・・・」
嬉しさと恥ずかしさと、少しの泣きたい気持ちを押し込めて。
遠出をした休日を満喫すべく、青子の手を取った。
「よーし、端から端まで歩こうぜ」
「何本あるか、数えてみようかな」
「アホ子、無理だっての」
「何よ、やってみなくちゃ判んないでしょう!」
4月末の週末。
絶好の行楽日和。
俺と青子の、3年越しの想いを、ゆっくり辿ろう。