たまにはいいでしょ?
いつも、いっつも振り回してばっかりなんだから!
青子が振り回したってバチは当たらないハズよ!
IQ400の頭脳フル回転して考えなさい!
青子はここよvv
探してねvv




『MOON AGE』



KIDの仕事を終えて、青子の部屋へと降り立った。

「ん!?」

灯りはこうこうと付いているのに、人の気配がしない。
下にでもいるのか?
外から見た限りでは、灯りはついてなかったはずなんだが。


「青子?」

音を立てないように窓をあけ、フワリと忍び込む。
お目当ての愛しい少女の姿はなし。
ぐるりと見渡して、机の上の小さな封書に気付く。

「?」

宛名は快斗、リターンアドレスは青子。



『お仕事お疲れ様、快斗。
この手紙を読んでる頃、青子はココにはいませんvv
いつも、いっつも青子を振り回してくれる快斗に今日は復讐する事にしました。
今宵は十五夜、青子はどこにいるでしょう?
追伸:早く来てね。この暗闇の中、青子は一人でいるんだから』


「は!? 復讐だ!?」
って待て! こんな時間に一人だと! アホ子! ちったぁ俺の気も考えろっての!

「ったく・・・。どこにいるって? 十五夜?」



確かに今夜は十五夜、お月見だ。
だが、仕事と重なるため、先週俺んちでやった。
あの時、何か言ってたっけか?





『綺麗だね〜、お月様vv』
『今日は天気良かったからな』
『ねぇ、快斗。恵子から聞いたんだけど、月の形って数字で表すこともあるんだって。知ってた?』
『知ってるよ、月齢だろ?』
『満月っていくつなのかな?』
『ん〜、その都度違うらしいぜ』
『ふーん、今日のはいくつなんだろ』

月齢ねぇ。
確かその手のサイトがあったよな。

『青子、ちょっと待ってろ』

窓際から机へ移動し、パソコンのスイッチを入れる。
カタカタとキーボードを鳴らして、程なく目当てのサイトを探し当てた。

『んーと、今月の月は〜っと・・・、あった。青子、ちょっと来い』
『なぁに?』
『ほら、これ。今日の月齢』
『13.895? 細かい数字だね』
『これでも少ない方なんだぜ。正確にはもっとなげぇんだよ』
『そうなんだ〜。あ、じゃ、あのお店もそこからつけたんだ!』
『店?』
『商店街にね、新しく雑貨屋さんが出来たの。ほらこれ!』

商店街組合発行のチラシ。
新規オープンの欄に【カフェ・14.9】とある。

『オーナーが月が大好きなんだって。お店も月にちなんだ名前なんだって』
『へぇ、そんなん出来たんだ』
『毎月、満月の日にはお月見会をするんだって〜。いいな。行ってみたいな〜』
『その時間、オメーは寝てるだろーが』
『そうだけど〜、素敵じゃない!』



お月見会とやらに行ったのか!


ちょっと待て!
あの後、ちょろっと調べて判ったことだが、地元の天文同好会とかが多数来てるらしい。
しかも夜とあって、男性が多いらしい。



アホ子!!
なんだって、そんなところに一人で行くんだよ!
復讐するなら、もちっと安心できる事やれっての!!



青子の置手紙を懐にしまい、くるりと踵をかえして、窓から飛び立つ。



商店街の裏通りで降りて、白い衣装は閉まって、それから・・・。


お仕置き覚悟しとけよ?




美味しいお茶と快晴の月見。
うっとりな顔でくつろぐ青子の元に着いたのは、それから間もなく。


案の定、一人でいる青子に声をかける野郎共がちらほら。

お仕置きは、後でのお楽しみにとっておいて、
まずは目の前のこ洒落たデートを堪能する為、野郎共の一掃にとりかかった。











『saoriの部屋』管理人saoriさんのお誕生日祝いとして贈ったものです。
可愛い青子ちゃん、とのご希望でしたが、果たしてその通りになったのかどうか(汗)
実は、とある方に強引にイラストをお願いしまして、セットで贈りました。
saoriさん宅にて堪能してくださいね。素敵ですよvv