『恋に落ちた瞬間』



「俺、黒羽快斗ってんだ。よろしくなっ」


時計台の下で、寂しそうにしてるアイツに花を贈ってから、早ン年。

今思えば、あの時落ちたんだろうな、俺は。

まー、自覚するまで少しばかり時間がかかったけど。




「かーいとvv」


一人感傷に浸ってた俺の腹の上にどかんと乗ってくる。



「!? うわぁっっ」

「ちょ、何よ! そんなに驚かなくたっていいじゃない」


アホ子!

年頃の男を何だと思ってやがる!

そのお子様的脳ミソ、何とかしやがれ!


「どこ乗ってやがる! 降りろっ」

「何よ、いいじゃない。減るもんじゃなし」


あー、もう。

だったら服をちったぁ考えてくれ!

膝丈のスカートで跨がれてみろ。

腹の上に直に当たる尻とか、左右に投げ出された足とか。

理性崩しにはこれ以上の材料はないんだぞ!

俺が今、どんだけ苦労してるか、判ってんのか!


「あ、見て!快斗」


窓を指指し、無邪気に笑う。


「あのな・・・。この状態で頭の上は見えねぇっての」

「あ、そうか。ごめん。降りるね」


腰を上げるため、俺の体の両端に手をつけ、腕をつっぱる。


「!?」


そのせいで、青子の状態は、至近距離まで接近し、心臓は否が応でも跳ねあがる。


「あ、ニキビ見っ〜け♪」

「いいから降りろっ!」

「何怒ってんのよぉ・・・」


ったく・・・。

オトコゴコロを何だと思ってやがる。


「快斗vv ほら、雪だよ」


窓の傍でおいでおいでと手を振る。

満面の笑みで見つめられると、さっきまでの苦労が嘘のように思えてくる。

さっきまで、さんざん煽られたのにな。



そうして、また。



俺は恋に落ちる。




カウンター2222番ゲットのちか子さんのリクエストです。
友達以上恋人未満な二人。
すみませんっっ、ミニミニになってしまいました。ごめんなさい!









『恋の病』


現場に青子が来ていた。


多分、警部への差し入れだろう。

それは、まぁいい(本当は危険だから来て欲しくないんだけど)。


問題はその後。


夜道は危険だからと、警備に当たってた警官を一人青子につけた。



ほほぅ、厳戒態勢の現場から警官を一人外すとは、KIDもなめられたもんだな。


青子を一人にするのは嫌だが、目の前の現実に、プライドが刺激される。

しかも、その警官。
やたらと人懐っこいらしく、青子にあれやこれやと聞いている。
青子も、ああいう性格だから、うんうんと相槌を打って話し込んでいる。

何を話しているのか、時折青子の顔が赤くなる。
テメェ、いい度胸してんじゃねーか。

青子の顔を赤くするのは、俺だけでいいんだよ!
どさくさにまぎれて、何口説いてやがる!!


注意をするはずの警部は、既にその場になく。
俺がそれをする時には、目ざとくやってくるクセに、相手が部下だと安心だってのか!


冗談じゃねーぞ。

少々荒っぽいが、あのヤローと二人にさせるよりはマシだ。

青子、少しだけ我慢しろよな。



警部の傍に放つ予定だった煙玉。
青子の顔が風下を向いた瞬間を狙って、警官の足元に投げ込む。
爆風で植え込みの中へ飛ばして、青子を掻っ攫う。

煙が引いた後には、俺も青子も遠い空の彼方。
警部の怒りを買いたくないであろう警官が、嘘をついてくれりゃ恩の字。



「信じらんない!!」

突然巻き込まれた青子はおかんむり。

「うっせぇな」

言えるかよ、本当の事なんて。

「んな事より、何話してたんだよ、あの警官と」
「警官? あぁ、さっきの人?」
「ずいぶんと親しそうだったじゃねーの」


ちくしょ、カッコわりぃ・・・。


「何って・・・、快斗の事だけど?」
「へ? 俺?」
「うん、あの人、快斗のお父さんのファンだったんだって。お父さんから聞いてたみたいだよ。快斗の事も」

快斗のマジックも見た事あるんだって。
素晴らしかったって、誉めてたよ。
だから青子、すごく嬉しくて、もっともっと見て下さいって、お願いしたの!


口説いてたんじゃねーのか。



「ね、快斗。ひょっとしてヤキモチ?」
「バ・・・バカじゃねーの? アホ子相手にそんなもん焼いてどーすんだよ」
「ふーんvv ね、顔赤いよ?」
「うるせー!!」




快斗の嫉妬。
立派な病です(笑)

J様、こんなもんですが、ご笑納くださいませ〜。









『恋の敵』


中森青子、18歳。

只今、乙女街道まっしぐら。


奥手な恋愛も、日々一生懸命頑張ってます。


でも、でもね。

恋愛初心者の青子に、いきなり降りかかって来るなんて、ひどいです。

好きだと判った瞬間から、恋敵がいるなんて、波乱万丈もいいとこです。


次のデートも、その人に持って行かれました。

青子が大事だよって言うくせに、その人が来ると、手のひら返したようにそっぽ向くんです。


恋敵とセットで好きです、なんて。

そんな器用な事、言えません。


昔から、青子はその人の事嫌いだったけど、益々嫌いになりました。



白き魔術師、怪盗KID。



貴方は、青子の恋の敵です。




KIDが現れると快斗が消える。
当たり前の事実が、実はやっかいだったのねぇ(笑)











『嫉妬心』



平次はモテる。


探偵なんてものやってるからやない。

贔屓目に見ても、結構エエ顔しとる。

隣に並ぶんは、アタシなんかじゃつりあわんのやなかろか。



なぁ、なんで?

なんで、そんなにエエ顔しとるん?



そんなんされたら、隣のお姉さんも出来へん。

アンタの顔に嫉妬やなんて。

アタシのキャラじゃない。



なぁ。


少しでえぇから、変な顔もしてや。

アンタの隣に居たいんよ。




黙ってりゃ、ハンサムですよねぇ、平次君。
エセ大阪弁は大目に見てくださいっっ









『恋人中毒』



時々、狂ったように求めてくる快斗。


KIDでいる時間が増えれば増えるほど、

快斗の、その時間が激しさを増す。


青子が泣こうが喚こうが、快斗の耳には入らない。



飢えた獣が獲物に喰らいつくように。




快斗は知らない。


青子は、そんな快斗も好きなのだという事を。


悲鳴をあげる躯が、どれほど崩れようとも、

その仕打ちを幸せとして受けとめる自分がいる事を。



そして、






それを心待ちにしている事も───




まさに『中毒』
マゾ入ってる??(笑)









『初恋の人』



貴方の初恋の人は誰ですか?


お気に入りの雑誌に、そう問いかけられた。

各界著名人のコメントが載っているページをナナメ読みしながら


青子の初恋は・・・と想いを馳せてみた。



‘恋’と自覚したのはいつだっけ?

一緒にいる事が当たり前。

彼が自分ではない女性を見るなんて考えもしなかった幼い頃。


青子は子供だから、気付くのに随分と時間がかかった。

こんなに鈍感だったのに、辛抱強く待ってくれた。



初恋の人─────


ワガママで、気障で、やんちゃな魔法使い。



雑誌にそう答えた、ある日の午後。




乙女入ってます(笑)







『こいのうた』



“恋の歌”と呼ばれるものはたくさんある。



“甘い恋” “激しい恋” “切ない恋”



私が“恋の歌”を選ぶとしたら、どんな曲になるんだろう。

色々考えたけれど、結局選べなかった。


だって、全部経験したんだもの。

その時々によって、歌は変わるんだもの。


だから、ちょっと見方を変えてみた。


“うた”にこだわるから決まらないのよね。



優しい声、甘い声、そして子供っぽい声。


私を呼ぶ声そのものが“恋の歌”


音階も何もないけれど

耳に、心に心地よく響く声が

私にとっての“こいのうた”



彼にそう言ったら


「音階がない」ってところが俺だよなって


耳元で囁いてくれた。




音階がない。
そりゃ、新一ですから(爆)









『恋は盲目』


6月21日、快晴。
文字通り、抜けるような青空が広がる、絶好のお祝い日和。




快斗の希望で、今日はピクニック。

早起きして頑張ったお弁当。

快斗の好きなものをたくさん詰め込んだ。



吹きぬける風がすごく気持ちいい。



空気が美味しいって、こういうのを言うのかな。




「気持ちいいね」
「あぁ、ちょっと遠いけど、眺めすげぇだろ?」
「うん! でも、何だか青子が幸せになってる気がするよ。今日は快斗が主役なのに・・・」
「いーんだよ。人込み避けたい気分だったからさ。ここが俺の希望♪」

人込みを避けたい・・・。
ここんとこすごく忙しそうだったよね、快斗。
学校もまともに来てなかったし・・・。


「ずっと忙しかったもんね。体、大丈夫? おばさまが気にしてたよ」
「あの程度で倒れたりしねーよ。そんなにヤワじゃねぇって」
「それならいいけど・・・」


マジシャンなんてものをやってるせいで、ポーカーフェイスはお手のもの。
昔は見ぬけなかった快斗のソレも、最近では多少判るようになった。


今の快斗を見る限り、あながち嘘でもなさそうな言葉。



(良かった。あんまり酷かったら、ここに来るのも無理だもんね)



木陰にシートを敷いて、荷物を降ろす。

上を向けば、木漏れ日が心地良い。



なんだか不思議な気分。

ピクニックなんて、両手に余るほどしてきたのに、今までのとはまったく違う感じがしてる。

寝転がって風を感じてる快斗。
青子はそれを隣で見てる。


たったそれだけなのに、すごく幸せ。

快斗も、そう感じてくれてるのかな?



映画や遊園地とかもいいけど、たまにはこういうのも素敵だね。







快斗、お誕生日おめでとう。


ちょっとキザだけど、この景色全部、貴方への贈り物です。







青子がこんな事言うなんて、可笑しいでしょ?

幸せ過ぎて、ちょっとハメ外してるのかも・・・ね?




良い意味での盲目
すみません、無理やりはめ込みました(笑)
A様、こんなものしか出来ませんでした、すみませんっっ









『ご褒美』



普段の青子からは想像出来ないくらいの微笑で。

得意のポーカーフェィスも崩れちゃうくらいの言葉で。



園子ちゃん直伝の衣装とメイク。

髪は緩くアップ。

足元はアンクレットにピンヒール。



始めてのショーを成功させた快斗にご褒美です。



会場のホテルは、国内でも有数の三ツ星。

スイートルームはオーシャンビュー。

余計な灯りのない空は、一面の星空。


快斗はショーの片付け中。

青子の準備はその間に完了。




携帯が鳴りました。


快斗が戻るまで、あと五分。



青子からのとっておきのご褒美。




あとは、二人の秘密。




ごめんね?




カウンター9696番ゲットの因幡ちゃんのリクエストです。
普段からは考えられない青子ちゃんに驚き目覚める快斗(どこが!?)
青子ちゃんに代わりに謝ってもらいました。
ごめんよぉ・・・。どうしても裏になる・・・(滝汗)