『特別な夜』



クリスマスは特別な夜だってよく言うけど、
青子は去年までその意味がよく判らなかったんだ。

仕方ないよね、その時は快斗の事「好き」って自覚なかったんだから。

快斗ってば青子にイジワルばっかりするから、
好かれてるなんてこれっぽちも思わなかったし。

あれから一年、自分と快斗の気持ちが同じだって判ってから、毎日がすっごく幸せになった。


だから、今ならちゃんと判るんだ。

クリスマスが「特別な夜」だって事が。

ご飯を食べてても、お風呂に入ってても、
してる事が昨日と変わらなくても「クリスマス」って思うだけで、いつもの倍以上の幸せが押し寄せてくる。


あ、もうこんな時間。もうすぐ快斗が青子のとこに来るの。

快斗ってば何をトチ狂ったのか、こんな日に仕事入れちゃって、
青子が「バ快斗!何考えてるのよ」って拗ねちゃったから、オロオロしてたけど、
終わったらまっすぐ青子の所に来るって言ってくれたから、
悔しかったけど許してあげた。


ほら、小さいけどマントが揺れる音がする。

テラスに降りた足音がする。

ガラス戸をノックする音がする。


じゃ、青子もう行くね。

快斗にあったかい飲み物いれてあげなくちゃ!


「ただいま、青子。遅くなってゴメンな」







《風の音色》の佐倉井梢ちゃんに差し上げたものです。
これが始めて書いた快青の小説(ミニじゃねーかい/苦笑)。
あぁ、恥ずかしい・・・(滝汗)