「きゃぁぁ!」

短い悲鳴にリビングで新聞を読んでいた快斗は驚いたように顔を上げると
慌てて声のしたバスルームに飛び込んでいく。
服を着ていた青子に小さなため息。若干の下心があっても仕方ない。

洗濯機の前でふみ〜と今にも泣き出しそうな顔で水没したと思われる携帯を確認している。

「・・・落っことしたのか?」
小さく頷く。途方にくれるなら分かる気が・・・泣きそうな顔は心臓によろしくない。
「入力なら俺も手伝ってやるから。」
IQ400の頭脳を使えば知っている範囲ならアドレスや携帯番号を空で言える。
だから、今にもホトホトと涙が零れ落ちそうな目の端に小さくキス。

「違うの・・・」
悲しげに携帯を見つめている。

「快斗からのメール全部とっておいたのに・・・消えちゃった・・・」

一瞬言っている意味が分からなかったが・・・快斗はその言葉に照れくさそうにしながらも、
青子が自分と同じことをしているとは思わなくて思わず顔が緩む。

「アホ子。」
そう言ってぎゅっと後ろから抱きしめてやる。

「とりあえず新しい携帯に替えに行こうぜ。」
快斗の言葉に青子は小さなため息をついて頷く。

「・・・うん。せっかく蘭ちゃんとおそろいだったのにな。」
青子の言葉に快斗が固まる。蘭と同じと言うことは・・・新一が選んだ携帯と同じと言うこと。
馬鹿なこととは分かっているが・・・

「青子、俺と同じ携帯にしろ。」
「え〜〜やだよ。快斗の機種ってピンクとか白とかパステルカラーがないんだもん。」
はっきりと言い切った青子に・・・カラーリングしてやるという条件で同じ機種に変えることを納得させる。
やっと頷いた青子の頭をぐりっと撫でてその背中から離れる。

青子があんなくだらないメールも取って置いてくれるというならもっとましな返事をしておけば良かった。
大体一言返信で、時々自分からメールしても遅れるや、腹減ったの最悪なメールばかりだ。


「つながったかな?」
機種交換をしてから3時間ほど・・・青子を足の間に座らせて使い方を講習してやる。
「ん〜どうだろう?メール送ってみるか?」
机に置きっぱなしにされていた携帯を取り上げる。
「うん。御願い。」

携帯をいじっている青子に気付かれないようにメールを打ち込んでいく。
変更してから始めてのメールだ。
最高のものにしないとな。
面と向かっては上手く言うことは出来ないけれどメールならば・・・・

まだ音の設定はそのままだったので色気の無いピロリン〜という音がして青子の携帯に着信がついた。
青子は嬉しそうにメールを開いてうっと固まり・・・徐々に頬が赤く染まっていく。


  件名 Only you  

  本文  I love you
       I need you
       I want you
       My Angel


顔を真っ赤に染めながらも、青子は可愛くない言葉を零した。
「・・・・キッドの予告状みたい・・・・」
可愛くない言葉を呟く可愛い唇に甘い口付けを落とす。それだけで済まなかったのはここだけの話。


後日
青子の御願いで某スクリーン画家の絵をカラーリングにしろと言われて
泣く泣くその絵を青子の携帯にカラーリングする快斗が居た。







梶高克夢さんからサイトオープンのお祝いとして、戴きました。
実は、携帯を水没させたのは私でして、戴いてたお話とかがすべてぶっ飛んでしまったんです(涙)。
同じモノを再度送っていただいた上に、更にこんなにステキなお話まで戴いちゃいました。
ありがとうございます〜〜〜vv