「だからね、服部君は和葉ちゃんを子分だと思ってるんだって!」
「・・・・・へ〜・・・・・」
アホか…という彼の目つきには気づかず、青子は楽しそうに、蘭から聞いたという話を披露している。
どう聞いても出来の悪い笑い話にしか聞こえないというのに、
そんな事にはカケラも気づいてないらしい幼馴染みは、どうやら件の西のメイタンテイと同レベル。
(おっこさま・・・・・)
呆れはしても、青子が子供で困るのは他ならぬ快斗な訳で。
それだけに笑えない自分を顧みて、和葉に同情しかけた彼だったのだが。
「そうすると、快斗は青子の子分ね!」
などと、自信満々に断言されるに至っては、流石に目を剥いて抗議の声を上げた。
「ナンだよ、それ?!」
「だってそうでしょ?どうしようもないバ快斗の面倒みてあげてるのは青子なんだから」
誰がバ快斗だ、アホ子!
なんて。
いつも通りに続けようとした快斗が、ふと思いついて顎に手を当てる。
先程の話の流れから言うのであれば、だ。
「・・・じゃあオメーは、俺が他の女と仲良くしてると、イライラするんだな?」
「へ?」
きょとん、と目を見開く青子に、ニヤリと笑ってみせた。
明らかに、思ってもみなかったという顔だけれど。
この辺り、追求してみればもしかして、ひょうたんからコマ、ということになるかも知れないではないか。
「服部はそう言ったんだろ?和葉ちゃんが他のヤローと居ると、って」
「うん。蘭ちゃんはそう言ってた」
素直に頷く青子は、まだ解っていないけれど。
「で、青子も俺を子分だって言うからには、同じ心境なんだよな?」
「え?えーっと…」
どうなんだろ?と天を仰ぐ彼女に、そっと近づく。
考え事に気を取られている青子の肩を掴まえて、耳元で囁いた。
「他のヤツなんか放っといて、自分のことだけ考えてろって・・・?」
それが、どういう意味なのか。
本当に解らない?
妬いてるの?なんて、冗談で口にすることはあるのに。
その辺りは少なくとも、西の名探偵よりマシの筈。
独占欲を伴ったその感情の答えくらい、解ってもおかしくないだろう。
問題は、青子がそれを認識出来るかどうか、自分の気持ちを、そうだと認められるかどうかで。
青子は、快斗が、好き。
さあ、答えは―――YES?NO?
「―――そっか! 青子、新一君ちに行って来る!」
「へ?!」
すっくと立ち上がり、高らかに宣言した言葉は、余りにも予想を越えていて。
反応の遅れた快斗は、青子が飛び出して行くのを、唖然としたまま見送ってしまった。
・・・ちょっと・・・ちょっと待て。
何がどーして、新一の家。
よもやまさか、アイツへの恋愛感情に気づいた、とか言わねぇだろうな?!
そんな事を考えて我に返り、慌てて後を追った快斗が、工藤邸で見たものは。
「だからね。人と仲良くするのは良いことでしょ。そんな心の狭いコト言って、止めちゃダメなんだよ」
親分だって言うなら、子分のこと考えてあげないとね!
などと、こっちへ遊びに来ていたらしい服部に向かって説教をしている青子と、
一応は声を殺しつつも、腹を抱えて笑い転げている新一の姿、だった。
どうやら西の名探偵ばかりではなく、黒羽快斗の先行きも、果てしなく長そうである。
ゆうきさんより、誕生日のお祝いの品、戴きました。
野郎共が揃って騒ぐのって好きなんですよ〜。
特にゆうきさんちの彼等って、なかはらのツボつきまくりなんです。
もちろん、今回も激しくついて下さいましたvv
ありがとうございました〜vv